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【就活生のリアルを描く】朝井リョウ「何者」を読んだ感想と心に刺さった言葉【直木賞受賞作(第148回)】

第148回直木賞受賞作の朝井リョウさんの「何者」を読みました。

就活とSNSをテーマに、「(本当の)自分とは何か?」と自分を見つめ直させるようなとても素晴らしい作品でした。

心にグサッと刺さる言葉とともに、レビューを書いていきます。

目次

朝井リョウ「何者」あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎のと別れた瑞月も来ると知っていたからー。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

個人的オススメ度:8/10

就活が終わった直後に買って読んだ本書を先日改めて読了。

「就活生の人間関係を描いた物語」です。

就活生の表の顔(友人といるとき)や裏の顔(SNS)がリアルに描写されています。

就活直後に読んだ時に物凄く「あるある」を感じた1冊でした。

SNSが普及し、自分の本音だったり、自己の表現を比較的自由に吐露できる時代。

そんな時に就活生が互いにどのように感じ、就活が進んでいくにつれてどのように心情の変化が起きて行くかを感じられるでしょう。

テンポよく読めるストーリーですが、ラスト30ページの衝撃からページをめくるスピードが爆速で上がります!

また、グサッとくるような言葉も多く刺激的な内容にもなっています。

どういう人にオススメ?

  • 就活終了!解放されている人(懐かしいな〜と人ごとで見れる)
  • 就活前の人(就活こわっ?!となれるはず。ただし、あくまでもフィクションという認識で。)
  • 就活と関係ない人(就活に入り込めない人でも面白く読めます)

逆に、不安症な就活生の方は就活が終わってから読んだほうが良いかもしれません。

読みどころ

①「観察者 拓人」への共感

就活生でもあり、この物語の主人公である拓人。

俯瞰的に他者のことを評価する様はまさに「観察者」。

一歩引いた目線で拓人の心情が描写されているため、徐々に拓人に共感してしまいます。

しかし、そうやって共感していると。。。

②SNSへの投稿

本書では随所で、SNSへの投稿文が出てきます。

それが見て感じる「あ〜こういうやついる!」というあるある感。

それを絶妙に表現している朝井さん。すごいです。

③ラスト30ページの衝撃と焦燥感

えっ!?という衝撃の事実とともに襲いかかるストーリー。

読み終わった後に焦燥感に襲われました。

これはハッピーエンドなのか?それとも。。。?

どう感じるかはみなさん次第かと思います。

ただ、これだけ。「ラスト30ページはやばい」。

心に残った(刺さった)名言

 十点でも二十点でもいいから、自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから、百点になるまで何かを煮詰めてそれを表現したって、あなたのことをあなたと同じように見ている人はもういないんだって。

これ、就活よりも社会人になってからハッとさせられた言葉です。

企業で研究開発をやっていると、どうしても頭でっかちになってしまいがちだったので、この言葉を見た途端、認めたくないけど自分にも当てはまる言葉だなと思いました。

「やっぱ、ぐだぐだと学生アドバイザーの成功談聞くより、一発どっかでかましてこいってことだよな」

そうですね。自己啓発本でもよく言われますよね。

実際、この発言をしている隆良も自己啓発マンなので、その言葉が出てもおかしくないですよね。

ただし、この言葉、とても共感でき、良いなと思ったのであげています。

映画化も

本書は2016年に映画化もしています!なので、そちらについても基本情報だけ。

【基本情報】

  • 監督・脚本:三浦大輔
  • 原作:朝井リョウ
  • 出演者:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之
  • 主題歌:中田ヤスタカ「NANIMONO(feat. 米津玄師)」

お腹いっぱいになる程、いまを代表する俳優陣たち。

さらに音楽には「LIAR GAME」などの音楽をプロデュースする中田ヤスタカ氏。ゲストボーカルには、米津玄師さん。

豪華すぎます。

ぜひ映画の方も。


何者

PrimeVideoで見る

 

おわりに

今回は、朝井リョウさんの「何者」について紹介しました。

直木賞受賞作ということもあり、非常に面白い作品でした。

すでに映画化もされており、こちらも見逃せない作品です(2020年11月現在、Prime Videoでも見れます)。

小説版では、「何者」のスピンオフ作品である「何様」も出版されています。


 

こちらもぜひ。