三浦しをんさんの「風が強く吹いている」を読みました。
箱根駅伝に出場したいという想いと、それに向かってひたむきに走り続けるメンバー。
箱根駅伝を題材にした熱い小説です。読んだ後、思わず走りたくなります。
心に響いた言葉とともに、レビューを書いていきます。
2010年、第1回ブクログ大賞文庫本部門大賞受賞作品。
目次
三浦しをん「風が強く吹いている」あらすじ
箱根駅伝を走りたい ー そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性溢れるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ!「速く」ではなく「強く」……純度100パーセントの疾走青春小説。
個人的オススメ度:9/10
毎年寒くなってくると読んでしまう本書。何より「読みやすい!」
「箱根駅伝にかける熱い想い」がつまった一冊です。
長距離ではないですが、私自身陸上をやっていたので、非常に感情移入して読んでしまいました。(なので、評価も贔屓目かも?)
箱根駅伝に興味がないメンバーが主人公の灰二によって、箱根駅伝にひたむきに向き合うようになる。一見、漫画とかでよくある光景(実際にアニメ化されています。こういう展開は受けが良いんでしょうね〜)ですが、なんか違うんですよね〜熱量かな?
佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」も陸上を題材とした小説で非常に面白かったんですが、こちらはどちらかというと、「才能ある原石が開花していく話」。
一方で、本書は、「才能がないキャラのガムシャラな熱さ」も見られるので、甲乙つけがたいですが、個人的には本書に軍配が上がりました。
青春さは「一瞬の風になれ」の方が上だと思うので、こちらは爽やかな春とか夏に読見たい作品かな〜と思います。
どういう人にオススメ?
- 熱いスポーツ小説を読みたい方(熱いです!)
- 箱根駅伝好きな方!(とても楽しめると思います!)
- 才能キャラがどんどん強くなっていくような展開が好きではない人(才能キャラは出てきますが、見所はそこではないんです!)
- 爽快感のある小説が読みたい人
- 普段あまり小説を読まない人、小説初心者(600ページ以上ありますが、非常に読みやすく、すごいスピードで読み切れます。)
読みどころ
①青竹荘の住民(主な登場人物)
箱根駅伝のメンバーは個性豊かな青竹荘の住民たち。
とにかく、キャラが強い。
清瀬灰二、蔵原走、ムサ(外国人)までは良いんですが、「神童・王子・ユキ・キング・ニコチャン」など、なんだこの命名は?となる名前ばかり。
こんなキャラで箱根駅伝に出るとは思えない。。。
でも、みんな頑張るんです。個性の強いランナーの頑張りを感じていただきたいです。
②ランナーごとの物語
箱根駅伝には「区間」があり、その区間内では言ってしまえば、個人戦です。
そのため、各区間ごとにメンバーの物語があるわけです。
メンバーごとの物語や襷を繋ぐ瞬間など、読みどろこ満載です。
③表現がすごい
読んでいて、臨場感が溢れるような。それでいて繊細できれい。とにかく表現がすごいと感じました(うまく表現できません笑)。でも、わかりにくい表現もなく、すっとストーリーが入っていく。とても良い作品だと思いました。
心に残った(刺さった)名言
「ハイジさん。僕はそんな言葉を聞きたいんじゃないよ」
「鶴見で待ってて。」
おぉお王子〜!!この時点でぶるってきたのに、鶴見でのハイジさんの回答で号泣。。。
実際に本書を読んで感動してください!
「その二秒は、俺にとっては一時間ぐらいある」
限界を出し切ったことがわかる描写。一見惜しいかもしれないが、その2秒にはとんでもない差があるということ。過去東洋大学が「その一秒を削り出せ」を合言葉にしていたことが良くわかります。
漫画化・実写映画化・アニメ化も
本書は2007年に漫画化、ラジオドラマ化、2009年には舞台化・実写映画化そして2018年にはテレビアニメ化されるなど、多くのメディアに取り上げられている作品です。
以下、基本的な情報を簡単にまとめておきます。
漫画化
【基本情報】
- 原作:三浦しをん
- 漫画:海野そら太
- 巻数:全6巻(新装版は全4巻に再編集)
元々は集英社から2006年に刊行されたものですが、現在復刊ドットコムにより新装版として再編集されています。
実写映画化
【基本情報】
- 監督・脚本:大森寿美男
- 原作:三浦しをん
- 出演者:小出恵介、林遣都、中村優一、川村陽介、橋本淳、森廉、内野謙太、ダンテ・カーヴァー、斉藤慶太、斉藤祥太、水沢エレナ
- 配給:松竹
- 上映時間:2時間13分
2時間では、やはり10人分の深掘りはできず、どうしても灰二や走の描写が中心になってしまいますが、面白いです。
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【基本情報】
- 原作:三浦しをん
- 監督:野村和也
- 話数:全23話
- 製作:寛政大学陸上競技部後援会
アニメ版ならではの臨場感が味わえます!
ただ、原作に入り込みすぎて、キャラ設定をしすぎると、アニメのキャラデザに違和感を感じるかもしれません。
(自分の場合はユキ・キング・ニコチャンが想像とちょっと違った)
でも内容は、面白かったです!2クールに別れていた分、丁寧に描かれていましたし。
PrimeVideoで見るおわりに
今回は、三浦しをんさんの「風が強く吹いている」について紹介しました。
とにかく、非常に面白い作品でした。
非常に読みやすいので、小説が苦手な方でも楽しめる作品だと思います。(それでもキツイ方は映画、アニメでも楽しめるかと。)
以上。書評でした〜